"計算基礎科学コンソーシアムの声明はお門違い"に対する細かいツッコミ

http://japan.cnet.com/blog/petaflops/2009/11/21/entry_27035472

能澤 徹さんという方が書かれた上のエントリについて細かいツッコミを。途中でNECが撤退しちゃうとかプロジェクトとしてどうなんだと言う点については同意ですので、ここでは技術面で不思議に思った点を書いてみます。

OpteronXeonはパソコン用のCPUからのものであり、PowerXcellもゲーム機用のCellからのものである。計算科学に関係の深いBlue Geneの源流は、コロンビア大学のQCDSPで、この機械は廉価な民生用のDSPを演算器として並列に並べて作ったスパコンであり、次のQCDOCとBG/LはIBMの産業組み込み用CPUであるPPC440を用いたものである。どれをとっても、「民生からスパコンへ」の流れである。

http://japan.cnet.com/blog/petaflops/2009/11/21/entry_27035472
  1. PowerXCellがCell/B.E.という民生品からの流れとするならば、今回仕分けの対象となった次世代スーパーコンピュータに搭載予定だったVinusもSPARCという民生品の流れなのではないでしょうか?Vinusの場合はかなり拡張されているようなのでPowerXCellとCell/B.E.ほど近いのかと言われると困りますが、もろにSPARC64の派生品扱いっぽいですし過去のワークステーションとも一応バイナリ互換があるのではないかと。
  2. QCDOCの事は知りませんが、BG/LはPPC440と互換性のあるコアを搭載した新しいプロセッサであってPPC440自体を使ったわけではないので、産業組込み用CPUを用いたとするのは微妙かと。(参考 http://www-06.ibm.com/jp/provision/no48/pdf/48_article2.pdf)

NECのSXとかをしきりにダメだといってますが実際の所どんなもんなんでしょうね。top500のlinpackモンスターな感じのクラスタ型を引き合いに出されてもなんかピンとこないというか、アプリケーションによってはスパコン専用機のメモリ帯域の広さで勝負するものもあると思うので、一つの石で10GB/s程度しか出なさそうな現行のXeonとかOpteronとかはデータ間に相互作用がある問題に対してどの程度スケールするものなのかはよく分からないです。特にSXの肩を持つつもりはないのですが、比較データがまるっきりなくてどちらとも言えないので、そのうち真面目に調べてみます。ただものがものだけに、仕様は見つかっても実効性能までは見つからないかも。